Third European IRPA Congress, 12-18 June 2010, Helsinki, Finland

International Organisations Forumと医療被ばくセッションのまとめ

Brief Summary of the International Organisations Forum, Tuesday, 15 June

The Forum was organised and chaired by Renate Czarwinski as part of the Congress Programme (Plenary Session) to review the activities of the International Organizations (EC, IAEA, ICRP, ICRU, ILO, NEA/CRPPH, UNSCEAR, WHO) in radiation protection and conduct a roundtable discussion, moderated by Jacques Lochard, on the future needs and challenges.
このフォーラムは、総会のプログラムとして、Renate Czarwinski氏によって組織され司会されもので、放射線防護における国際機関 (EC, IAEA, ICRP, ICRU, ILO, NEA/CRPPH, UNSCEAR, WHO)の活動を振り返り、Jacques Lochard氏のモデレートにより、将来解決すべき課題についてラウンドテーブルディスカッションが行われた。

The various contributions can be summarized as follows:
以下のように様々な貢献がまとめられる。

• The general challenges facing radiation protection professionals for the coming decades are:
放射線防護の専門家が向かい合う次世代の全般的な課題は、

1. continuous and rapid increase of medical exposures,
持続して急速にぞかしている医療での放射線曝露
2. increasing concern about natural exposures (NORM and radon),
自然放射線への関心の増大(NORMやラドン)
3. maintenance of vigilance and good records within the nuclear fuel cycle for both the aging existing installations, and the numerous new installations to be built in the near future, particularly as exposure to maintenance and transient workers are concerned, and
核燃料サイクルでの古くなった既存施設と近い将来に導入される膨大な数の新しい施設の双方での、事故防止の警戒やよい記録の維持。とりわけ、維持や渡り労働者への曝露が危惧される。
4. pursuit of research on low dose radiation effects.
低線量健康影響の研究の継続

In discussing the need for low dose radiation effects, it was noted that it is necessary to maintain a good balance between epidemiological and radiobiological research because the two disciplines are indispensable for establishing sound and effective radiation protection principles.
低線量健康影響の研究の必要性の議論で、疫学研究と放射線生物研究のバランスを取ることの必要性が記された。何故なら、二つの研究手法は、健全で有効な放射線防護の指針作りに欠かせない。

• More rapid developments related to radiation effects on the lens of the eye, radiation induced vascular effects, protection of the environment from radioactive releases and residues, and attributable risk to radiation are needed to make proper decisions in the coming years.
眼の水晶体の放射線影響や血管での放射線影響、放射性物質の環境放出や残留からの環境の防護はさらに検討を促進させることや放射線による寄与リスクは、数年のうちに適切に判断する必要がある。

• Stakeholder involvement is now recognized by all organisations as an effective process to enhance the quality of radiation protection. Efforts should be developed to improve the engagement of stakeholders in the medical field and in existing exposure situations in particular for protection against radon exposure.
利害関係者の巻き込みは、全ての組織において、放射線防護の質をよくするために有効な過程であると新しく認識された。医療分野や既に存在している被ばく(特にラドンの曝露の防護)では、利害関係者の巻き込みをさらに促進する必要がある。

• International and professional organizations involved in the global organization of radiation protection must pursue their cooperation for the development of a universal and effective system of radiation protection and take into account the raising role of international networks of authorities, practitioners and operators.
放射線防護の国際的な機関と関連した国際的で専門的な組織は、統一的で有効な放射線防護システムの開発のために協力し合わなければならない。
また、専門家、実務者、オペレータの国際的なネットワークの役割の意義を高めることに留意しなければならない。

Summaries of topical sessions


S02: Medical use of Radiation

Special attention is given to patient dose optimisation from high dose modalities and procedures (MSCT, PET, PET/CT, SPECT/CT, etc), Interventional Radiology and Cardiology, with emphasis on paediatric and recurrent examinations.
小児科領域と検査を繰り返す場合が強調され、高い線量を用いるモダリテイと手技(MSCT, PET, PET/CT, SPECT/CT, etc)、Interventional Radiology and Cardiologyでの患者が受ける線量の最適化に特別な関心が寄せられた。

Also dose optimisation tools have been improved, and focus has expanded increasingly on the minimisation of radiation dose.
また、線量を最適化するツールが改良されてきた。放射線の量の最小化への注目が強くなってきた。

There is a trend in estimating the Life Attributable Risk (LAR) for cancer induction from the high dose procedures, especially for paediatrics.
特に小児科で、線量が大きい手技に起因したがんによる生涯寄与危険を推計する試みが目立った。

Miss-justification is becoming a major concern.
正当化の誤りが重要な関心を集めつつある。

There is a need for enhanced education and training for the Healthcare Professionals to facilitate evidence based decisions for examination practices.
保健医療の専門職を対象にしたエビデンスを基にした検査の適応判断を促進するための教育研修を強化することが必要である。

The setting up of National Derived Reference levels (DRLs) especially for high dose modalities, interventional procedures and for peadiatrics is considered as a tool for optimisation.
とりわけ高い線量のモダリテイやIVR、小児を対象にした放射線診療での国内での参考レベルを定めることは、最適化のツールであると考えられる。

In Radiotherapy the estimation of the out-of-target dose in estimating the risk of induction of secondary cancers is becoming important for high dose rate procedures (gamma-knife, IMRT, IGRT).
放射線治療ではターゲット以外の線量を二次がんのリスク推計のための推定することが、高線量率治療(ガンマナイフ、IMRT, IGRT)で重要になりつつある。

Third European IRPA Congress

AOCRP-3

AOCRP-3とは何か

2010年5月24から28日に、第3回アジア・オセアニア放射線防護会議(AOCRP-3)が、東京都江戸川区のタワーホール船堀で開催された。アジア・オセアニア放射線防護会議は国際放射線防護学会(IRPA)傘下の地域組織であるアジア・オセアニア放射線防護協議会(AOARP)が主催し2002年から4年ごとに行われており、これまで、第1回ソウル(2002年)、第2回北京(2006年)が開催され、今回の大会は3回目である。IRPAは1962年に設立された機関で各国の放射線防護に関係する学会で構成されており、放射線防護の専門家間の情報交換を促進することを目的としている。アジア・オセアニア放射線防護会議は、オーストラリア、中国、インド、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピンの各国内学会から組織されており、今後、バングラデシュ、インドネシア、タイ、ベトナムからの参加見込まれており、これらの国からも参加があった。アジア諸国では他に、クエート、イラン、イラク、サウジアラビア、台湾、シンガポール、ネパールからも参加があった。

特別セッション3: World Health Organization (WHO)セッション

4.3 SS-3: World Health Organization (WHO)
テーマは、”Appropriate use of radiation in paediatric setting”であった。WHOのN. Takamura氏から、”Setting scene – health risks of radiation exposure early in life”が講演された後、WHOのglobal initiativeの責任者であるM. Pérez氏から” Radiation safety in health care settings – the case of pediatric imaging”が講演された。彼女の講演では放射線診療の最適化が改善できる余地があり、改善の意義が大きいことが強調された。放射線診療の不適切さがもたらす個々の患者の不利益は多くの場合、大きいものとは言えないが、放射線診療が世界中で普及しているので公衆衛生的な視点からは介入の余地があるとの議論が展開された。その中でも小児や胎児が対策の対象として重要なことが強調され、特に小児を対象にしたX線CT検査で適応の吟味が求められるだけでなく、診断情報を損なうことなく患者が受ける線量を照射条件の最適化で低減できる余地があることが述べられた。小児科での放射線診療をより安全で効果的にするために医療機関、専門家、行政機関のそれぞれが責任を果たすべきと講演が締めくくられた。
続いて、WHOのglobal initiativeでも活躍されているInternational Radiology Quality Network (IRQN)の代表であるLawrence LAU氏から”A clinical perspective on procedure justification: the Global Referral Guidelines Project”が講演された。この講演では、X線CTで受ける線量への関心が一般の公衆でも高まっているなかで、特に小児では放射線診療を行う場合には、放射線を適切に利用することが重要であると指摘され、小児に適した放射線診療を行うべきであると述べられた。放射線のリスクを制御し、質のよい放射線診療を提供するために国際的な活動がなされていることが紹介され、対策の5つの柱として、関心を高めること、研究を深めること、教育訓練の手法を開発し実践すること、インフラを整備すること、効果的な施策を展開することを示された。その具体的な例として、” Image Gently Campaign”とWHO-IRQN による放射線診療の正当性確保のための”the Global Referral Guidelines Project”が紹介された。これらの活動の特徴は、幅広い専門家集団を巻き込んでいることである。ここでは国連はファシリテイターの役割を担い、様々な専門家集団がそれぞれの役割を発揮していることが示された。協調することが対策を強化し、社会を融合させると締めくくられた。

一般演題: Exposure to medical radiation

Comparison of Average Glandular Dose Values between Screen Film Mammography and Digital Mammography

マンモグラフィがスクリーンフィルム系(SFM)からデジタル系に移行しつつある。デジタル系では画像の再構成が自動的になされることから適切な平均乳腺線量(AGD)への関心が高まっている。この研究では、乳腺割合を50%に模擬したファントムを用いSFMとdigital storage phosphor plates (DSPM)、 full field digital mammography (FFDM)間でAGDが比較された。その結果、統計学的には有意ではなかったが、DSPM (0.215 ± 0.136 mGy) 、SFM (0.579 ± 0.070)、FFDM (1.139 ± 0.755 mGy)の順であったことが示された。この研究では画像イメージも合わせて評価されていたが、検査法間の線量の比較では、画質も合わせて考慮することが重要であり、線量としての指標の標準化だけではなく、画質をどう指標化するかが課題である。

Dosimetric Comparison of IMRT Planning for Nasopharyngeal Carcinoma using Biologically Based Monaco and Dose Based Treatment Planning System

nasopharyngeal carcinoma (NPC)に対するIMRT(強度変調放射線治療:様々な方向から放射線ビームの形状や強度を変えて照射することで線量分布の最適化を目指す照射方法)の線量分布を治療計画別に比較した結果が示された。標的腫瘍と17 の重要な腫瘍周囲のorgans at risk (OARs)のDose volume histogram(GVH:腫瘍や健常組織を仮想的に分割し、分割された部分がどの範囲の線量を受けるかを度数分布で示す方法)などが分析された結果が示された。放射線治療計画では、治療対象となる腫瘍の部位を決定し、腫瘍に重要なエネルギーを与え、かつ、放射線リスクを制御すべき周辺の健常組織の線量を低減させることが求められる。このため、最適化が求められるが、そもそも、治療すべき範囲をどう決定するかが標準化されていない状況にあり、その質の向上が課題となっている。

Case Report on the Effect of Fan Beam Thickness in Helical Tomotherapy of Nasopharyngeal Carcinoma

NPCのトモセラピー放射線治療(X線CTと同様に、線源を患者の体軸に沿って回転させ照射する方法)でのビームの体軸方向の厚みが線量分布にどのような影響を与えるかを検討した結果が発表された。ビームの厚みを1.0 cm, 2.5 cm と 5.0 cmとし他の変数は同様になるようにして作成された治療計画による線量分布が比較された。それぞれの線量分布には大きな違いはなかったがビームの厚みが1.0 cmのものが、最も計画標的体積(照射ビームの幾何学的条件の不確かさなども考慮した治療対象部位: PTV)への均一性指標が低く良好であった。OARsに最も高い線量を与えたのはビームの厚みが5.0 cmであるのに対し、最も低い線量を与えたのは、ビームの厚み1.0 cmであった。これらの検討の結果、通常の治療ではビームの厚みが2.5 cmでも許容はできるが、より進展した腫瘍への治療ではOARsを制御するためにビームの厚みを1.0 cmとすべきとされた。

Radiation Exposure to Family Members and the General Public after Permanent Brachytherapy for Prostate Cancer

国立国際医療センターと国立がんセンター中央病院でI-125の埋め込み治療を受けた前立腺がんの25名の患者(刺入された放射能は、0.7GBqから1.6GBqの範囲で平均は1.2GBq)を対象に患者周囲の線量率を電離箱サーベイメータで計測した結果が発表された。患者周囲の線量率は患者の皮膚から4.5cmでも側方は5µSv/h以下で前方では最大でも0.2 mSv/hを超えず、そこでの滞在を続けても50 mSvに達せず、前方に距離100 cm確保すると最大に到達する線量は0.9 mSvとわずかであったことから、患者との距離を取るために何らかの特別な措置を講ずることの意義そのものが乏しいとしていた。発表者はこのようなデータをもとに各医療機関で患者向け説明資料を策定することが放射線安全に資するとしていた。放射性医薬品を投与されたり密封小線源を埋め込まれた患者の退出基準などの放射線安全は緊急被ばく医療に従事する関係者の放射線防護と基本的には同じである。医療では1GBqを超えるI-125を体内に持つ患者の管理区域からの退出が従来からなされており、2010年の春からは、甲状腺アブレーションのために1GBq程度のI-131を用いられた患者が管理区域から退出することが一般的になるとともに、0.2GBqのSr-89を投与された患者の管理区域からの退出も急増している。また、腎不全を持つ患者で、これを超える量を投与された後に人工透析を受けた実績がわが国でもあり、このような事例では透析液に比較的多くの量の放射性物質が移行する。このような放射線治療や核医学診断を受けた後に、別の疾患や何らかのアクシデントなどで医療を受ける必要が生じることがあるが、その際の放射線防護とも共通する。緊急被ばく医療を身近なものと感じてもらうためには、このような患者が何らかの発作を起こした場合の医療を想定した訓練を組み合わせるとよいのではないだろうか。

ポスター発表

リニアック治療での患者が受ける中性子線量をファントムと使い推計した研究(9-P-1)、CT線量指標を計算と測定で推計して精度を比較した研究(9-P-2)、シーメンス社が開発した断層撮影であるTomosynthesisを用いたマンモグラフィでの平均乳腺線量を計算と測定で評価した研究(9-P-3)、X線透視で患者の皮膚が受ける放射線の量を、線質を考慮し、照射線量から換算する方法を示した研究(9-P-4)、頭部X線CT検査での患者の放射線リスクを推計した研究(9-P-5)、多列X線CTでの線量と画質を考慮した撮像条件最適化に関する研究(9-P-6)、陽子線治療での二次的な中性子線や光子線による患者や患者が装着している医療機器への放射線量を推計した研究(9-P-7)、X線CTで患者が受けた線量を推計するアプリケーション開発に関する研究(9-P-8, 9-P-11)、放射線診断で小児が受ける線量を主要臓器と実効線量とで推計した研究(9-P-9)、放射線治療での皮膚障害を軽減する外用剤の開発に関する研究(9-P-10)、多列X線CTでの臓器線量と容積効果を考慮したCT線量指数の関係を調べた研究(9-P-12)、台湾での放射線診断での国民線量を推定した研究(9-P-13)、放射線治療で患者の皮膚を覆う毛布によるビルドアップを推計した研究(9-P-14)、X線CT透視での術者の手指の線量を推計した研究(9-P-15)、X線CTでのCTDIw を調べた研究(9-P-16)、マンモグラフィでの平均乳腺線量を評価するための放射線標準場の開発に関する研究(9-P-17)、ICRPの組織加重係数の見直しがX線CT での線量推計の影響に与える影響を評価した研究(9-P-18)、韓国でのX線CT 検査による国民の放射線リスクを推計した研究(9-P-19)、韓国で現在進行中の放射線診療で患者が受ける線量の分布を調べ、診断参考レベルを策定する研究(9-P-20)、ガンマナイフでの放射線量を計測した研究(9-P-21)、高いエネルギーのリニアック治療で放射線診療従事者が受ける中性子線量に関する研究(9-P-22)、IVRに従事する放射線診療従事者が受ける放射線量を精度よく推定するために、複数の線量の装着の最適化に関する研究(9-P-23)、リニアックでの事故を想定し、医療従事者などが受ける線量を推計した研究(9-P-24)の発表があった。

ガンマナイフはエレクタ株式会社の登録商標です。

透析と放射性医薬品

Radiopharmaceuticals and Dialysis

腎不全・透析症例

記事作成日:2010/07/13 最終更新日: 2017/02/20