SPECT-CT装置でのCT単独使用

医療資源の有効利用のための規制整備が進められています。

効率的な医療体制を構築するために、高額機器の有効利用が図れるように規制を合理化することが求められている。この観点から、厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究「診療放射線分野における新たな医療技術等の活用に係る研究(主任研究者:伊東久夫(千葉大学大学院))」で、「SPECT-CT検査時の被ばくに関する検討(分担研究者:油野民雄(旭川医大))」が検討され、その結果に基づき、医政局長通知「エックス線装置をエックス線診療室を除く放射線診療室において使用する特別の理由及び適切な防護措置について」が平成21年7月31日に発出されたので紹介する。
本通知は、PET-CTだけでなくSPECT-CTでもCT単独撮影を可能とするものであり、放射線安全を確保した上で、核医学−CT複合装置等の有効活用を図るための制限が撤廃された。この背景として、核医学と組み合わせて用いられるX線CT装置の高性能化がある。
例えば、MDCT(multi-detector-row CT)による冠動脈血管造影検査(冠動脈MDCTA)は、従来の冠動脈血管造影検査に比べて、患者の負担が少なく従来の検査法を代替・補完する検査法となりつつあるとされている。冠動脈MDCTAと心筋シンチグラフィの重ね合わせは、心筋シンチグラフィの集積欠損部分の責任血管が精度よく同定できることから患者の治療方針決定や治療評価に有益とされているのである。従来の通知でも、核医学−CT複合装置のみならず、核医学検査に用いるMDCTでも、診療用放射性同位元素使用室で用いることが可能となっていることから、今後、SPECT(single photon emission computed tomography)装置は更新できなくても、CT装置を単独で核医学施設内に設置して、同日にSPECTとCTA(coronary CT angiography)などを実施することが想定されている。また、SPECT-CTの高性能化も考えられる。このような状況において、この通知は、医療現場のニーズに応え国民へのよい医療の提供に資するものであると期待される。
上記の研究では、放射線安全面が検討されCT単独検査の患者がSPEC-CTを待つ患者から受ける線量などが十分に小さいことが示された。PET-CTでのCT装置を単独使用に比べると使用核種の半減期が長いことに留意が必要であるが、同等の放射線防護措置で十分であるとされている。
本通知発出にあたっての意見募集では、この研究報告書の考え方に沿い、日本放射線技術学会から本通知改正に賛成するとの意見が寄せられた。また、管理体制面に関して、「医療機関の放射線管理の実務を診療放射線技師が専門職として担っている実態があり、専門的な知識・技術を有している診療放射線技師が放射線管理を担当するのが相応しいこと、加えて臨床医の負担を軽減させるという観点からも、「陽電子—CT複合装置」でのCT単独撮影と同様に、「また、診療放射線技師が診療用放射性同位元素使用室における安全管理に専ら従事することによって、」との文言を追加することを提案します。」との意見が寄せられたが、医師が安全管理者として対応することで安全性が確保されるとして原案のまま通知が発出されている。研究班報告書ではSPEC-CTを待つ患者からの線量を予測することや経験が浅い施設の職員を対象にした研修の必要性が提案されており、放射線安全管理のプロである診療放射線技師のサポートが期待されよう。RIを投与され、SPECT検査待ちで管理区域外にでる患者に由来した従事者や公衆の曝露を考えると、相対的に重要な経路として下水処理場の汚泥経由が指摘されている(ICRP Pub.94 99項など)。また、稀ではあるがI-131カプセルでは嘔吐しうることが添付文書にも記載されており、患者から飛散した放射性ヨウ素では有機化の考慮が求められているが、それらの対応が未だ明確でないように見受けられる。関係者に信頼される核医学の特性に対応した放射線管理が期待されており、クリアランス制度を円滑に導入するためにも医療機関の主任者や放射線管理担当者の横のつながりをさらに深める必要があるのではないだろうか。通知発出のような機会を捉えて、関係業界との信頼関係をさらに築いていただきたい。
今後も、医療技術の進展や診療スタイルの多様化に応じた規制の持続的な見直しが必要であると考えられる。よりよい診療を提供するには、その安全面の確保が不可欠であり、関係学会での質のよい指針の策定や質の検証システムの運用が求められることから関係者の取り組みに期待したい。

出典

山口一郎.核医学撮像室でのX線CT装置の活用と放射線安全.医療放射線防護.56,61-62,2009

記事作成日:2010/02/14 最終更新日: 2013/06/05