MELODIとDoReMiの関係

ヨーロッパを中心にした低線量放射線影響に関する課題の解決を目指す取り組みが進められています。

MELODI 文書 No 2

2009年11月

はじめに

メロディとドレミというそれぞれの名称が明確に示すように、この2つの組織はお互いを欠くことができません。
また、HLEG(「ヨーロッパにおける低線量影響研究における高度専門家グループ(High Level Expert Group on European Low Dose Risk Research [HLEG])」)が提唱する戦略を実行するため、特にその導入相では、両者が協調してはじめてプロジェクトが意義を持ちます。

それぞれの音楽家が独奏者として演奏したり、あるいは小規模の室内楽のように音を合わせて演奏することをイメージすると、新しい交響曲を奏でるために演奏をコントロールするには、協働することを学び、ともに練習し、そして、大規模な交響楽団による複雑な「他種類の楽器」による音楽を演奏することが求められます。

このようなMELODI と DoReMiの特別な関係は、HLEG報告の結果を取り入れた2008年の EURATOMによる提案の呼びかけ応じて構築されました。
この関係の鍵となる事項は、このMELODI 文書第2号に記述されており、付録にプロジェクトの全体像が図解して示されています。

HLEG報告は、ヨーロッパにおける低線量研究のこれまでの状況と、3つの点で大きく異なります。
(1)これまで以上に国内での低線量に関する研究と教育の相乗作用を活性化させること
(2)既成概念にとらわれることなく低線量に関する科学的な課題を探求するため必要な全て分野との連携をこれまで以上に強化すること
(3)これら2つを明確に推進するためにEUレベルでリソースを有効活用すること
HLEGの活動に関与した5つの国内機関は、最初の課題にそれぞれの取り組みはじめています。これらの取り組みは、MELODIと呼ばれる学際的欧州低線量イニシアチブをスタートさせるという事前同意書への署名に基づき進められています。

これらの組織は現在のところMELODIプラットホームという仕組みに組み込まれています。この仕組みは、ヨーロッパにおいて、全ての研究所と他の利害関係者に対して開かれた構造であり、全ての種類の低線量研究と放射線防護の問題に長期的な視野で取り組むものです。

このプラットホームには、「歴史的な」EURATOMファミリーに属するかどうかに関わらず、関係する全ての組織や研究機関が含まれるべきであり、HLEGの報告書に示されたアーチとしての科学的な疑問を解決するために、共通する関心(common interest)を共有します。
「歴史的な」EURATOMファミリー外の研究所は、MELODIの学際的コンピテンシーを高め、放射線防護で主流である生物物理的なモデルからより生物化学的であったり分子生物学的であるアプローチに移行することが期待されます。
また、これらの研究所はMELODIの多様で透明性のある独立した専門性を強化することが求められます。

MELODIの主たる目的は、ヨーロッパでの低線量研究のために戦略的な研究アジェンダやロードマップを作り上げることです。このロードマップには、戦略的なゴールにどうたどり着けるかが記述されるでしょう。

HLEGの報告書の採択から1年未満に、いくつかの主要な勧告が形になり、以下のように具体的に動き出したことをお知らせできることは心強いことです。
(1)Stuttgart MELODI workshopは、この重要な取り組みをまず前に進めることを皆様に明らかにし、MELODIプラットホームを機能的とし、先進的な取り組みのネットワーク「network of excellence (NoE) 」のための次なるステップに関する情報を発信しました。
(2)HLEG報告書がまとまった後、EUはMELODIによるHLEGの戦略を実行を支援するNoEをサポートするために一定額の予算的な措置を講じました。この取り組みは、ヨーロッパ全体に明確な政策的なシグナルを送るものです。

NoE創設を尊重し、DoReMiはEURATOMのFP7-Fission-2009提案募集(締め切りは21 April 2009)に応募し、ECとの間で資金の合意に向けて最終的な調整段階になっています。

しかしながら、MELODIとDoReMiは、それぞれ同じような関心領域を持つ加盟国によりサポートされていることから、それぞれの目的の間で重複であるか、あるいは、少なくともどの分野が未解決のまま残っているかを考える必要があることから、2つの間の関係やモードを明確にすることが求められます。
このため、それぞれから生み出される鍵となる成果として何が期待されるかを確認することが提案されました。:

MELODIが果たすべき鍵となる役割

MELODIは、主としてヨーロッパでの低線量リスク課題における研究と研修の長期計画を策定することが期待されます。

この計画は、EURATOMとそれを超える範囲の学会を含む全ての利害関係者の十分な支援を受けECと加盟国がMELODIに基づき、この領域でのEUや各国の研究や研修施策をガイドするものであり、とりわけ将来のFP programmeの募集への準備もなされます。
これを実現するためMELODIは、統合的なプラットホームの構築を推進しなければなりません。その過程で、開かれた確かな方法により全ての関心あるグループを巻き込み、活動の原理を与えるHLEGの戦略の見通しを見失うことがあってはなりません。

整理すると、MELODI に期待される成果や役割は4つにまとめられます。
1) 低線量放射線リスクに関する開かれた科学的で社会的なフォーラムを代表した正当な存在であること。
2) 科学的な研究アジェンダ全体を発展させ維持すること。それには、研究と研修で何を優先させるべきかを明確にし、科学的で国や分野を超えて連携(研究のためのインフラや研修制度を整備し共有することなど)することを含みます。
3)EUや国際的な機関と間での低線量放射線リスクに関する研究政策に関する対話を継続すること。
4) MELODI の科学委員会を介して科学的な研究アジェンダに沿った基準となる専門的な見解を示すこと。この専門的な見解は、研究計画の策定で独立した科学的な意義づけに貢献します。MELODI 参加国での国レベルやあるいはEUのスポンサーによるプロジェクトとして想定されている研究計画は、DoReMiや NoEにより資金が確保されることになります。

MELODIは、時間をかけて、DoReMi “sub-community”として当然想定される学会を含むその構成組織が作り出した情報やアイデアを加工することで、これらを行うことになるでしょう。
この分析から、きちんとした道筋でゴールにたどり着くには数年が必要になるであろうことが明らかなように思われます。
しかしながら、HLEGによる戦略は、実行開始まで数年も待てるものではありません。時間が経過すると実現することが覚束なくなります。

DoReMiが果たすべき鍵となる役割

DoReMiはMELODIを補うもので、短期間で結果を得てHLEGのアプローチが役立つことを証明しMELODIの発展に貢献することを目指します。
これらの目的やスケジュールはNoEからの期待ともまさに一致します。このため、EUはそのような計画を2008年の募集に応募する可能性を含めたのです。

EUやNoEの加盟組織により調査されたリソースは、次の目的のために用いられることになるでしょう。
1) 短期から中期間のタイムスケールを持つ学際的な研究アジェンダ“transition research agenda” (TRA) の発展や実施。このアジェンダはHLEG戦略のエッセンスに到達することが目指されるでしょう。
2) 学際的な研究アジェンダを限定されたタイムフレームの中でかつNoEの組織内で実施すること
3) プラットホームの開かれた開かれた対話の場に科学的な知見を提供したり、(EUにより最終決定された契約条項に基づき)このために与えられたリソースにより支援することでMELODIのより広範囲な発展に寄与すること
4) NoEでの研究や研修に関する継続募集に対する戦略的研究アジェンダにMELODIの成果を考慮すること

これらの公開募集は双方の組織の活動構造に新しいパートナーをさらに組み込むことが期待されます。
NoEは、自らの独立した科学評価プロセスに、MELODI科学委員会の枠組みを活用することができるでしょう。
実務的には、DoReMi 作業パッケージWP2,WP3とWP4は、ヨーロッパの研究インフラやそれらの成果物により「draft contributions」が直接MELODIの作業部会にフィードされているように教育や研修においてMELODIを支援する仕組みを作るでしょう。
DoReMi 作業パッケージWP5, WP6とWP7は、線量影響関係に関する科学的な問題に関係しています。個人の放射線感受性や放射線による非がん影響は、それぞれ、研究や実務的な研修活動によりもたらせる成果物としてまとめられるものであり、戦略的研究アジェンダのロードマップにおける最初の実用的な道筋となるべきものです。

これらの成果やそれらからの経験的なフィードバックは、とりわけ、NoEがその終期に近づいたときにMELODIのゴールを広げることに貢献するものです。
このため、DoReMi 作業パッケージに参加している研究者はMELODI に積極的に関与することが求められる。そうすることで、進行中の低線量リスク研究戦略は、毎年発展することできるのです。

関連情報

原子力安全委員会

安全研究(放射線影響分野)の 国際動向と今後の課題(pdf file, 377kB)
低線量放射線影響研究の動向について(pdf file, 143kB)

長崎大学

第一回MELODI ワークショップ参加報告書(pdf file, 208kB)

安心科学アカデミー

原子力安全研究推進事業への期待

記事作成日:2010/12/10 最終更新日: 2016/08/31