核医学検査を受けた患者さんからの放射線

各医療機関が十分な(=線量拘束値などを担保する程度の)安全評価を行っており、リスクは無視できると考えられます。

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関連記事

原発内のI-131

Q.核医学検査を受けた患者さんの病棟でのオムツの管理はどうすればよいですか?
A.「放射性医薬品を投与された患者さんのオムツ等の取扱いマニュアル」に取扱の方法が記述されています。

説明を受けた家族の反応例

日帰り検査入院

地域での放射性物質集積例

Q.核医学検査を受けた患者が家に戻った後の汚染物は清掃工場に集積されるのですか?
A.清掃工場の焼却灰などの放射能濃度は十分に小さく、リスクは無視できます。
山口一郎,寺田宙,高橋光子、杉山英男、三宅定明.都市環境における放射能モニタリングに関する調査研究.第49回環境放射能調査研究成果論文抄録集 2007;7-8
飛灰では、比較的高い濃度になることがあります。

千葉県君津地域広域廃棄物処理施設

平成25年12月の測定において、これまで検出されていなかったヨウ素131が検出されました。

学会等によるマニュアル

放射性医薬品を投与された患者さんのオムツ等の取扱いマニュアル(含「核医学診療を行う医療従事者のためのガイドライン」)
日本医学放射線学会、日本放射線技術学会、日本核医学会、日本核医学技術学会、医療放射線防護連絡協議会

現場での実践報告

核医学検査に伴い発生する感染性医療廃棄物の放射線管理
阿部 欣二,放射性医薬品投与後患者の放射線防護上の取扱について
看護師のためのアイソトープの基礎
核医学放射線管理実務に関するQ&A Ver2.0

歩行サーベイで核医学検査を受けた患者さんからの放射線を検出した例(渋谷駅と戸塚駅構内での検出例)

長岡和則,佐藤昭二,山中 武,大西由子.歩行サーベイによる空間放射線線量率の測定.保健物理.44(1):66-71(2009)
この例はいずれもTc-99mで線量率は0.3μSv/h,0.6μSv/hで線量率が増加したのは患者さんとすれ違った40秒間程度であったそうです。同様の事例は、第52回アイソトープ・放射線研究発表会でも発表されています(松澤孝男、保田浩志.生活空間において偶然感じる不規則な放射性雑音)
【4月18日に県庁(福岡市博多区)モニタリングポストの測定値が上昇した事案について】
・4月18日(水曜) 17時26分から福岡県庁(福岡市博多区)に設置するモニタリングポストの測定値が上昇(最大値:0.716μSv/時)したため、直ちに原因究明調査を実施しました。
・放射性物質を推定するための詳細な解析を行ったところ、放射性医薬品(造影剤)の特徴が見られたこと、また、当該時刻に降雨が観測されていないこと等から、測定値が上昇した原因については、検査や治療のため放射性医薬品を投与された方が県庁のモニタリングポストに接近された影響が考えられます。

X線透視検査で使う「造影剤」は放射性物質ではありません(トロトラストとは別のお話)。

関連してモニタリングポストでX線が検出された例

感度のよい環境放射線モニタリングでのX線検診車からの放射線検出例
エックス線検診車の天井からの漏洩線量
都内の放射線量の推移とモニタリングポスト異常値対応

モニタリングポストで放射性医薬品由来の放射線が検出された例

放射性医薬品が原因と考えられる空間放射線量率の上昇について
東京都における福島第一原子力発電所事故後の空間線量率の推移と変動要因
県内の原子力関連施設周辺における環境放射線監視. ー監視システムで認められた変動の解析とその評価

呼気を経由した公衆への放射線曝露

Q.核医学診療を受けた患者さんの呼気などにより大気は汚染されるのですか?
A. 空気中の濃度は十分に小さく、リスクは無視できます。
各都県からの環境放出量として平成19年度の都道府県別の出荷量(検定時刻ベース)を用いた例

放射性ヨウ素の吸入において元素状ヨウ素を想定するのは、非安全側ではないのですか?

非安全側ではありません。
3ヶ月児のI-131吸入時の線量換算係数

化学形 預託実効線量換算係数(Sv/Bq)
元素状 1.7E-07
ヨウ化メチル 1.3E-07
粒子状(AMAD = 0.030 micron,Type F) 1.3E-07

Q.核医学診療を受けた患者さんの呼気に含まれる放射性物質由来の線量を減らすにはどうすればよいですか?
A.
・核医学診療で使う放射性物質の量を減らす。
・放射性物質を投与された患者の滞在場所を工夫する。
放射性物質を投与された患者の滞在する場所で空気を浄化する
・放射性物質を投与された患者の滞在する場所からの排気を浄化する。
・その他

I-125シード線源治療

Q.I-125線源を埋め込んだ患者が死亡した場合の放射線安全上の注意を教えて下さい。
A.一年以内に死亡した場合には線源を取り出す必要があります。
医政指発第0715002号.患者に永久的に挿入された診療用放射線照射器具(ヨウ素125シード、金198グレイン)の取扱いについて(平成15年 7月15日)
前立腺癌小線源療法後1年以内死亡時の対応マニュアル
全国保健所長会.前立腺癌治療の放射線照射器具を永久的に挿入された患者の解剖許可申請についての取り扱いについて

Q.1年以内の死亡で線源が取り出されなかった例があると聞きましたが、公衆等のリスクは無視できるのでしょうか?
A.この2例に関しては環境への影響は問題ないと結論づけられています。

研究報告書

平成19(2007)年度厚生労働科学研究:グローバル社会に対応した健康危機サーベイランスシステム:情報分析・グレーディング手法の開発と評価(主任研究者:今井博久)

米国の事例

DAMAGED SOURCES

放射線安全規制検討会での指摘

放射線安全規制検討会(第9回)議事録

Sr-89治療

関係学会のマニュアル

有痛性骨転移の疼痛治療における塩化ストロンチウム-89治療の適正使用マニュアル(第四版)
1. 放射性汚染物の取扱い
Q.1-1 入院患者のオムツの管理について
Q.1-2 投与患者が転院した場合の、転院先でのオムツの処理方法について
Q.1-3 患者の衣類、シーツ等の管理について
Q.1-4 患者が使用したティッシュペーパーやペットボトルなどの管理について
2. 被ばく管理
Q.2-1 準備時または投与時の被ばくの程度
Q.2-2 患者の投与後の採血・採尿が可能な時期ついて
Q.2-3 患者の投与後の採血・採尿時、または、検体の取扱い時の注意点について
Q.2-4 入院患者の蓄尿パックをしゃへいする必要性について
Q.2-5 投与直後の患者を手術・解剖する際の注意について
Q.2-6 注射漏れをした時の対処方法及びその際の皮膚などへの障害の程度についてQ.2-7 Sr-89 からのβ線の空中、水中や各物質での飛程について
Q.2-8 投与患者と妊婦との接触の是非について
3.放射線管理
Q.3-1 汚染物等のサーベイは、β線の直接測定か制動放射線による測定か
Q.3-2 放射性医薬品使用記録簿の放射能の記録について
4.RI 内用療法を受けた患者の死亡に伴う措置について
Q.4-1 RI 内用療法を受けた患者の死亡に伴う措置について
1. 放射性汚染物の取扱い
Q.1-1 入院患者のオムツの管理について
Q.1-2 投与患者が転院した場合の、転院先でのオムツの処理方法について
Q.1-3 患者の衣類、シーツ等の管理について
Q.1-4 患者が使用したティッシュペーパーやペットボトルなどの管理について
2. 被ばく管理
Q.2-1 準備時または投与時の被ばくの程度
Q.2-2 患者の投与後の採血・採尿が可能な時期ついて
Q.2-3 患者の投与後の採血・採尿時、または、検体の取扱い時の注意点について
Q.2-4 入院患者の蓄尿パックのしゃへいする必要性についてQ.2-5 投与直後の患者を手術・解剖する際の注意について
Q.2-6 注射漏れをした時の対処方法及びその際の皮膚などへの障害の程度について
Q.2-7 Sr-89 からのβ線の空中、水中や各物質での飛程について
Q.2-8 投与患者と妊婦との接触の是非について
3.放射線管理
Q.3-1 汚染物等のサーベイは、β線の直接測定か制動放射線(+不純物核種からのよりエネルギーの高いガンマ線)による測定か
Q.3-2 放射性医薬品使用記録簿の放射能の記録について
4.RI 内用療法を受けた患者の死亡に伴う措置について
Q.4-1 RI 内用療法を受けた患者の死亡に伴う措置について

FAQ

Q.Sr-89を投与されたご遺体を火葬する予定です。火葬炉の煙道からバグフィルター間の集塵機までの清掃にあたらせる作業者に何らかの配慮は必要でしょうか?また、バグフィルターの交換に注意は必要でしょうか?

Q.遺灰を自宅に持ち帰ってもよいでしょうか?

A.Sr-89は骨に集積しますので、骨上げは規制下限数量を超えない程度にとどめておきましょう(ICRP Pub.94 170節)。

Q.葬儀でSr-89を投与されたご遺体を扱うことになりました。社員に何か注意を与える必要があるでしょうか?

A.残存放射能が退出基準を下回っていれば、エンバーミングを含めて特別な配慮は不要です。社員に不安があるようであれば、医療機関の放射線安全管理担当者から説明を受けるようにしてください(ICRP Pub.94 170節関連)。

Q.Sr-89を投与された患者の血液など検体の扱いでは放射線管理上、どのような注意が必要ですか?

A.Sr-89の投与後8時間での5cc採血で血液検体に含まれるSr-89は7.5kBq程度に過ぎません。
ただし、Sr-89では骨への集積が予測されます。
あらかじめ残存放射能の量は推計できるので、採血など行為が繰り返される場合でも、事前にリスクが推計できます。
このようなリスクアセスメントをもとに医療機関内で関係職員の合意形成を図っておくのがよいでしょう(トイレ汚染や廃棄物処理などと同じです)。
なお、障害防止法では許可施設に対しては、規制下限数量未満のRIに関しても、事業所内全体での管理が必要とされています。
詳しくは、有痛性骨転移の疼痛治療における塩化ストロンチウム-89治療の適正使用マニュアル(第四版)をご覧下さい。

Q.有痛性骨転移の疼痛治療における塩化ストロンチウム-89治療安全取扱講習会で、Sr-89を投与された患者さんの周囲の放射線の量を測定するように指導されています。
GMサーベイメータで計測した場合の線量当量率への換算方法を考えてください。

A.半径10 cmの人体(水)の径5-9cmの部分にSr-89があると想定してみると、体外で一定の距離を離すと、外で観測される放射線はほとんど光子になりました。

この図はSr-89ではなく、Y-90が1000回崩壊したとしています。赤は電子で黒は光子の飛跡です。また、骨はアクリルで模擬しています。厚生労働科学研究油野班ではY-90投与後にリンパ節を触診する場合の医師の手指の線量も推計しています。
このように、光子フルエンスから線量当量への換算で推計できます。
例えば、GMサーベイメータの有効面積を10平方cmでカウント率が100 cps/10 cm2だとすると、
10 cps/1cm2=3.6×104 [cph/cm2]
このエネルギーの光子に対するGM管の計数効率が1%とすると、
飛んでいる光子のフルエンス率は、3.6×106[/cm2/h]
換算係数が0.02 MeV: 1.01, 0.2 MeV: 1.18なので、1[10-12Sv/cm2]だとすると、
3.6×10-6[Sv/h]=3.6[μSv/h]
となります。
このほか、Sr-89製剤にはSr-85が8.5E-4程度混入していることが知られています。
Sr-85からのγ線もこれと同じ程度飛んでくると考えられます。
日常の管理では変動の程度を確認することにも意義があると考えられるでしょう。

看護研究の例

アイソトープ治療時のケアにおける看護師の放射線被曝の実態

放射性医薬品投与後の超音波検査

木下 絵美、小宮 勲、梅津 芳幸、溝口 範子、小林 幸次、千住 竜之、中村 泰彦.放射性医薬品投与後の超音波検査における従事者の被ばくについて.日本診療放射線技師会誌 2015. vol.62 no.748

医療機関での教育資料の例

看護婦(士)(→師)のためのアイソトープの基礎

獣医療法での問題

放射線審議会第97回総会
《委員質問》仮に治療中にRIを投与された動物が死亡し、体内のRIが退出基準値未満に低減できない場合には、飼主が連れ帰り火葬などにすることはできず、放射性廃棄物として処分せざるを得なくなるような制度設計と考えて良いか。

文献

核医学診療に伴う管理区域外の廃棄物管理と対策
平成 12 年度日本核医学会ワーキンググループ報告

懸念表明例

放射性廃棄物スソ切り問題連絡会

放射性廃棄物スソ切り問題連絡会の呼びかけ

大阪府本部/自治労大阪府職員関係労働組合

放射性廃棄物のスソ切り処分問題
さらに、原子力施設だけでなく全国に約6,000事業所もある病院など放射性同位元素の取扱施設も対象となる。これらの事業所で発生した放射性廃棄物は現在アイソトープ協会が回収しているが、発生箇所が多いだけに、十分な管理が行われるかどうか疑問である。スソ切りされたものが市町村収集ごみや業者ゴミとして処理されることも予想される。放射線管理区域から発生したものでもどんどん一般のゴミ扱いが行われ、知らずに紛れ込んだ放射能汚染が広がっていくケースも考えられる。廃棄物処理にあたる労働者や市民が被曝する事故の可能性も考えられ、自治労にとって看過できる問題ではない。
チタン廃棄物問題に関して丁寧にデータを得て調べた例も記述されています。

社団法人全国産業廃棄物連合会

3.放射性廃棄物の取扱い

医療廃棄物処理の基礎知識
医療関係機関等で発生する廃棄物のうち放射性廃棄物は、廃棄物であっても廃棄物 処理法の対象外である。核医学診療を受けた患者からの廃棄物は放射性医薬品が混入 しており,放射線測定器で測定することにより有意に放射線が検出される場合がある。 医療廃棄物に放射性物質が検出された場合,産業廃棄物処理業者が処理することはできない。

記事作成日:2010/04/01 最終更新日: 2017/02/01