MEDICARE IMAGING DEMONSTRATION

放射線診療が適正に使用されているかどうかを確認しようとする米国のプロジェクトです。

プロジェクトの概要

目的

臨床医の画像診断サービスの利用状況のデータを収集し、参照ガイドラインに従った適切なサービス利用がなされているかどうかを検証します。
データは地域性や専門性、 practice settingsの観点から分析されます。
このプロジェクトは、判断支援システム(DSSs) が、診療の質を改善し、不必要な放射線曝露を減らし、先進的な画像診断サービスの適切な利用を促進するかどうかを検証します。

対象

手技

MRI, CT,核医学を含む11の先進的な画像診断:Spect MPI, MRI lumbar spine, CT lumbar spine, MRI brain, CT brain, CT sinus, CT thorax, CT abdomen, CT pelvis, MRI Knee, and MRI.

臨床医

2,500 から 3,500人の臨床医が対象とされています。
参加した臨床医には、参照ガイドラインと比較し、それぞれの画像診断サービスの利用状況が適切であるかどうかがフィードバックされます。
参加した臨床医には、同僚と比較した画像診断サービスの利用パターンの分析結果も定期的にフィードバックされます。
このプロジェクトでは、臨床医へのフィードバックが画像診断のオーダーの行動を改善させるかどうかも評価されます。
事前・事後比較デザインで先進的な画像診断の適切な利用に判断支援システムが役立つかどうかが検証されます。

プロジェクトのサイト

Fact sheet; Appropriate Use of Imaging Services Demonstration Project (pdf file,24kB)
press release
Federal Register Notice (CMS-5047-N)(pdf file,60kB)

背景

このプロジェクトとは別の試みとして、CMS( the Centers for Medicare & Medicaid Services)は、医療費支払制度としてFFS (fee for service)を利用しているメディケア(公的高齢者医療保険制度)の受給者での画像診断サービスの利用による電離放射線への曝露の傾向を1997 – 2007年にかけて調べました。
この期間に、受給者が受ける電離放射線の量は毎年大幅に増加していました。
このため、このプロジェクトで期待される成果のうち、不要な電離放射線曝露を減らすことは、メディケア受給者に提供するケアの質の観点からは、もっとも期待できるものと考えられます。

法的な根拠

Medicare Improvements for Patients and Providers Act of 2008 (MIPPA) は、長官に先進的な画像診断サービスの臨床医の利用の適切さに関するデータを収集することを規定しています。

関係するプロジェクト

American College of Radiology

ACR Appropriateness Criteria

International Radiology Quality Network

WHO-IRQN Referral Guidelines Project

Stakeholders to collaborate on referral guidelines

WHO

Medical imaging specialists call for global referral guidelines

欧州委員会 Europe commissionの参加
Medical imaging specialists call for global referral guidelines

EU

RADIATION PROTECTION 118

Referral guidelines for imaging

The Royal College of Radiologists (RCR)

Referral guidelines

NHS Evidence accreditation
In July 2010, the process used to create MBUR was formally approved under the NHS Evidence Accreditation Scheme – a programme which supports health and social care staff by enabling them to recognise the most reliable and trusted sources of guidance.

Referral guidelinesの影響評価

Influence of the Royal College of Radiologists’ guidelines on hospital practice: a multicentre study. Royal College of Radiologists Working Party
【目的】ガイドラインによる医療機関での放射線診療行為への影響を明らかにする
【デザイン】1987年1月から1990年12月のある期間の連続する21-24月間にそれぞれの医療センターで前向きに(=データを縦断的にしかも研究開始時点から未来に向かって)情報を収集した。
【設定】5つの地域総合病院と1一つの地域保健機関
【対象】25の専門領域の722人のコンサルタントによってケアされた314,663の退院、死亡、日帰り処置患者、1,706,781の外来患者
【主要なアウトカム】退院、死亡、日帰り処置患者100人と外来患者100人のあたりのそれぞれのX線検査依頼数
【結果】ほとんどの医師は同僚により設定された診療行為の基準を受け入れることや彼らの診療行為をその基準と比較する目的で地域の同僚医師にモニターされレビューされる用意が出来ていた。18%の診療チームはガイドラインが導入される前のX線検査依頼数が高い水準にあった。ガイドラインの導入後に、個々の患者でのX線検査依頼率の評価できるかしばしばドラマテックな低減が各センターや各専門領域で多く記録された。 The major part of this reduction was achieved by some of the firms whose initial practice did not meet “high referral” criteria.望ましい診療のために合意された基準へのコンプライアンスは、看過できない程度の変動があった。
【結論】この研究は、NHSの医療機関が実施している放射線検査のうち少なくとも1/5が臨床的に意味がないとする最近の示唆を協力に支持している。合意された基準へのコンプライアンスをどう確保するかという問題が解決されなくてはならない。そうしなければ、医療監査制度だけでは、good practiceをcommon practiceとすることはできない。

放射線診療ガイドラインは、地域の医師による委員会による診療状況のモニタリングやレビューがなければ、機能しないとの仮説に基づく実証研究。
それぞれのセンターで最初の1年間は電子的にデータを収集し、その結果を医療機関にフィードバックし医療機関内でガイドラインを導入し、X線検査依頼が変化するかどうかを調べている。
病棟患者の胸部X線検査依頼の比較では、
センターAは100人あたり18件であったのが21件
センターBは100人あたり6件であったのが3件
センターCは100人あたり61件であったのが12件
と変化の大きさが+11%, -40%,-80%とばらついていることに臨床的な説明は付けられないとしている。
診療科別では、産婦人科の外来での3.8件/100人から 2.2件/100人で 42.1%と減ったのが低減の程度として最も大きく、センター単位では80%低減された。
検査依頼数の低減の経済効果も論じられているが、臨床的なアウトカムは評価されていない。

日本医学放射線学会および日本放射線科専門医会・医会合同ガイドライン委員会

JRS/JCR合同ガイドライン委員会編エビデンスに基づく画像診断ガイドライン-2007

フィンランドの取り組み

Development of clinical audits for medical use of radiation

Clinical audit: a systematic examination or review of medical radiological procedures which seeks to improve the quality and the outcome of patient care through structured review whereby radiological practices, procedures and results are examined against agreed standards for good medical radiological procedures, with modification of practices where indicated and the application of new standards if necessary.
監査とは:放射線診療の体系的な試験やレビュー。それらは放射線診療そのものやその手順やその結果が合意されている適切な放射線診療手順に関する基準(通常ではない放射線診療では、必要があれば新しい基準が適応されるかどうか)と照らし合わされる構造化されたレビューにより患者へのケアの質と成果の改善を目指している。
監査は、第1ステップが同僚によるもの、第2ステップが病院全体によるもの、第3ステップが他の病院によるもので、審査内容を担当医にフィードバックしている。

International workshop on practical implementation of clinical audit for medical exposure 2008

This workshop was held at Tampere Hall, Tampere, Finland on September 8-10, 2008.
(これらは、ECR2010に参加された放射線医学総合研究所 重粒子医科学センター病院診断課 神立進先生から頂いた情報です)

記事作成日:2010/08/03 最終更新日: 2017/03/01