フォールアウトしたSr-90による歯牙への線量と放射性セシウムの体内量

受ける線量は小さいです。

Q.過去の大気圏核実験などでのフォールアウトに含まれる放射性同位体がある臓器に特異的に濃縮されると聞きました。
Sr-90は歯に蓄積し、半減期が長いそうですが、大きい線量を受けないのでしょうか?

A.歯牙に沈着したSr-90の濃度を100 mBq/gとし、それが40年間に線量を与えたと仮定して計算した場合、
線量(歯牙の平均組織吸収線量)は、
・歯牙 1.3±1.5 mGy
・頬   15±0.1μGy
となります。

口内法X線撮影で受ける線量よりも大きくないと考えられます。

文献

永井充(国立予防衛生研究所), 宮島直子.乳歯中の90Sr蓄積に関する研究(2).国立予防衛生研究所年報35巻 Page418(1982)
1971年生まれの児の乳歯のSr-90の濃度は、
    母乳栄養:1.54±0.24 pCi/Ca 1g
    混合栄養:2.52±0.2  pCi/Ca 1g
1972年生まれの児の乳歯のSr-90の濃度は、
    母乳栄養:1.41±0.32 pCi/Ca 1g
    混合栄養:2.38±0.2  pCi/Ca 1g
    人口栄養:2.88±0.44 pCi/Ca 1g

1pCi=37 mBq

第19回放射能調査研究成果論文抄録集

乳歯中の90Sr濃度について

Q.過去の大気圏核実験で体内に摂取された放射性セシウムの量はどの程度だったのでしょうか?

全身計測装置で調べた例です。
Cesium-137 and Potassium Contents in Low-Teens in Areas of Different Fall-out Levels in Japan

調査の概要

方法

降下量の多かった秋田(東京の倍の降下量:50人)と東京(38人)で男子中学生を対象に体内の放射性セシウムの量を調べた。
測定は4つのプラスチック・シンチレータを持つWBCで行い、計測時間は10分間とした。
調査時期は1968年7月の末。

結果

体内の放射性セシウムの量の分布は対数正規分布に近く、バラツキの大きさでは差異は検出されなかったが、平均値は東京の方が高かった(33.4±15.7[pCi/kg] vs 27.0±13.5[pCi/kg])。
(1.2±0.6[Bq/kg] vs 1.0±0.5[Bq/kg])
体内のカリウム量は対数正規分布に近く、バラツキの大きさでは差異は検出されなかったが、平均値は秋田の方が高かった(93.9±14.1 [g/body]vs 99.6±10.8 [g/body])。
体内の放射性セシウムの量は牛乳の摂取量と関係があった。
秋田では肉よりも魚を食べる群で体内の放射性セシウムの量がより多かった。

その他の文献

放射性ストロンチウムだけではなくプルトニウムの量も計測されています。
Plutonium from Above-Ground Nuclear Tests in Milk Teeth: Investigation of Placental Transfer in Children Born between 1951 and 1995 in Switzerland

Background

職業上のリスク、現存する核の脅威、原子力の関連する潜在的な危なさは、妊婦でのプルトニウムの代謝に関する懸念を高めている。

Objective

1951年から1995年に出生した児の乳歯のプルトニウムのレベルを測定し、胎盤を介してプルトニウムが妊婦から胎児に移行することで、胎児の放射線感受性が高い組織に潜在的なリスクを与えうるかどうかを評価する。

Methods

妊娠期間中に(エナメル質が)形成される乳歯を用い、プルトニウムが母胎の血漿から胎児に移行するか調べた。プルトニウムは、 sector-field ICP-MSで計測した。得られた結果を核実験で大気中に放出されたSr-90について計測された過去の研究と比較した。

Results

出生年別に分析すると、乳歯のプルトニウム濃度のピークは、プルトニウムのフォールアウトのピークから10年度であった。一方、胎盤を通過することが知られているSr-90は、乳歯中の濃度の出生年別パターンがプルトニウムのそれと異なり、プルトニウムのフォールアウトの年次推移と同様であった。

Conclusions

これらの結果は、乳歯(の歯根部や象牙質)中のプルトニウムは、乳歯の生え替わりの時期にフォールアウトしたプルトニウムを吸入(訳注:あるいはフォールアウト由来のプルトニウムを経口摂取)したことに由来していることを示している。従って、プルトニウムは胎児の放射線感受性が高い組織への放射線リスクを与えないであろう。

NIRSによるレビュー

セシウム-137 体内量のバイオアッセイによる推定

環境中のSr-90

平成23年度公共用水域放射性物質モニタリング調査結果

放射性ストロンチウム測定結果

記事作成日:2009/12/22 最終更新日: 2016/10/21

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