どうして放射線の線量はたくさんの種類があるのですか?

線量にはいくつかの種類があります。
しかし考え方はとても単純です。

原発事故後の現存被ばく状況での放射線防護のカテゴリーの記事は、保健福祉職員向け原子力災害後の放射線学習サイトに移行中です。

線量の種類が様々である理由

同じ検査でも指標として使う線量の種類が違うと線量の大きさは異なります。
線量の種類が異なるのは理由があります。

そもそも放射線の線量って何?

電離放射線の生体影響は電離(=電子をはじき飛ばす=不対電子を作る)によります。
また、電離量は比較的計測しやすいので、電離量が放射線の単位として用いられています。

照射線量
空気中に生成された電離量(評価領域の単位質量あたり =C/kg)を線量の指標として用いています。
定義では実在しない乾燥空気を用いていますので、バーチャル量です。
評価領域で生成した電子を追って(=とことん追うことはできないので、仮想的に評価)電離量を評価しています。

吸収線量
生成された電離に費やされた(=電離した電子の運動エネルギー)エネルギー(評価領域の単位質量あたり)を線量の指標として用いています。
照射線量と異なり電離される物質の種類を限定しません。

等価線量

臓器の平均吸収線量を放射線加重係数で調整したものです。
放射線の種類による生体影響の応答の違いを考慮しています。

実効線量

等価線量とそれぞれの臓器の放射線の感受性を考慮し総和したものです。

預託実効線量

放射性同位体を体に取り込んだ場合に、臓器に放射性同位体が取り込まれることによる継続的な放射線への曝露を考慮した指標のうち、実効線量に関して用いる線量です。等価線量に対しては預託等価線量を用います。
放射線への曝露期間は、取り込んでから成人では50年間、小児では70歳までが想定されています。
一年間の食品の摂取に伴う預託実効線量の推計では、一年間に経口摂取する放射性同位体の量から計算されています。
経口摂取した放射性同位体から線量を受け続ける期間は、こちらの表をご参照下さい。

どの範囲の線量を考えるの?

吸収線量は空間分布を持っています。
どの範囲の線量を考えるかで線量の大きさは異なります。
細く絞ったビーム内と体全体では線量が大きく異なります。
皮膚が放射線炎を起こすような急性反応は局所の線量を考えます。
全体としての発がんリスクを考えるときには全身での線量を考えます。
局所の線量ではGy(グレイ)(平均吸収線量)が全身の線量ではSv(シーベルト)(実効線量)が用いられています。

何故、吸収線量は単位質量あたりの電離エネルギーなのに特別な単位を用いるのですか?

放射線はエネルギーを体に与えます。
しかし、熱として与えるエネルギーはとても小さく放射線治療であっても感じることはできません。

そこで特別な単位としてGy(グレイ)を用いています。
Gyは単位質量あたりに与えたエネルギー(J/kg)と同じですが熱としてのエネルギーではなく放射線の特徴である電離作用の大きさに着目しています。

単位の種類

Sv(シーベルト)は放射線の種類や各臓器の感受性を考慮した線量です。

日本原子力研究開発機構による解説

「マイクロシーベルト」などについて(pdf file, 606kB)
福島原発事故で、いろいろな情報が流れ、それらの情報をどう解釈したらいいのか悩まれている方も多いと思いますので、分かりやすくまとめてみました。

多田順一郎先生によるとっても詳しい解説

Tracer【連載】線 量 ─第 1 回─.Isotope News, (702), 2012.
Tracer【連載】線 量 ─第 2 回─.Isotope News, (703), 2012.
Tracer【連載】線 量 ─第 3 回─.Isotope News, (704), 2012.
Tracer【連載】線 量 ─第 4 回─.Isotope News, (705), 2013.

記事作成日:2009/12/12 最終更新日: 2016/02/28